この講演は,2003年9月14日(日),13:30〜16:00に蟹江 康光が横須賀市自然・人文博物館 講座室で発表した記録である。講演は,「地震のメカニズム」と「三浦半島の活断層調査,1967年から」の2部に分けて行われた。
講演要旨 私は,1967年に横須賀市で生活するようになり,最初の仕事として大正関東地震発生時,武山断層に派生した下浦地震断層を調べた。翌年,衣笠・北武・武山・南下浦・引橋の各断層は右横ずれ地形をもつことが金子の論文で発表された。その後,土地利用にからんで横須賀市野比地域における北武断層の調査が進められた。1993年に最初のトレンチ発掘調査が行われ,断層の最終活動は1200〜1050年前(1997年に1540〜1020年前に更新)であることが判明し,北武断層が活断層であることが明らかになった(佐藤ほか,
1994)。
1995年1月に兵庫県南部地震が発生し,これ以降は,公的資金の投入で組織的調査が行われ, 2002年の地震調査推進本部による総合解釈の結果,衣笠・北武・武山の各断層は三浦半島北部断層群とみなされ,その断層の長さが20
km,想定地震規模がM 7.0-7.2,最新活動が1500-1000年前,平均活動周期が1000〜1600年とされ,今後30年以内に11%の確立で地震がおきると発表された。南下浦・引橋の2断層は三浦半島南部断層群とみなされ,断層の長さが7
km+,推定地震規模がM 7.2,最新活動が2.2万〜万年前と公表された。この調査成果を生かすのは,自治体と地域住民である。